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投資のリスクは、人生の外側で決まる

ほたる
公開日:
約16分

どうも、ほたるです。

投資のリスクと聞いて、最初に何を思い浮かべるでしょうか。

私の場合は、保有している資産の価格が大きく下がることでした。

ただ、値動きの先にあるものまで考えると、話は少し変わってきます。値下がりで減った資産は、時間をかければ戻ることがあります。それに対して、人生の側で失ったものは、簡単には戻りません。

この記事は、投資を始めたばかりの人に向けたものではありません。投資はしているけれど、どこまでリスクを取ればいいのか分からない。そういう人のための記事です。

問題提起
投資のリスクを、金融資産の中だけで測っていませんか
  • 値動きは戻っても、失った余裕は戻りにくい
  • リスクを下げた分は、時間や自律や関係へ移動する
  • 健康が崩れると、投資のリスクを下げざるを得ない
結論
人生のリスクと並べて、投資の量を決める
  • 物差しは、金額・残り時間・選択肢・健康の4つ
  • 自分の条件から答えを出す

投資のリスクは、値動きだけではない

まず、投資のリスクという言葉を、いつもの意味から少し広げます。

投資のリスクと言えば、振れ幅の大きさのことを指します。

ですが、より実践的というか一般人の感覚からすれば、価格が下がって資産が減るというニュアンスの方が近いと思います。

減った額は数字で確認できますし、価格は毎日動くので、嫌でも目に入ります。

同じ金額でも、減る痛みは、増える喜びより大きく感じるものです。行動経済学では、この性質をプロスペクト理論の中心的な考え方として説明しています。

ただ、資産が減って困るのは、減った金額そのものではありません。

困るのは、その金額によって起きることのほうです。

私が嫌なのは、ひもじい思いをすることです。

使いたいときにお金が使えない。やりたくないことを、お金を理由に続けなければいけない。

たとえば、どうしても食べたいものがあるのに値段でためらう。

体調を崩したときに、治療費のことを先に考える。

働きたくない相手のもとで、生活のために働き続ける。

ここまで来ると、これは投資の話ではなく、生活の話になります。

だから私は、投資のリスクを測るときには、値動きのリスクと人生のリスクを分けつつも、一緒に考えたほうがいいと思っています。

値動きのリスクは戻ってくる可能性がありますが、人生のリスクは戻りにくい。この違いは、けっこう大きいんですよね。

リスクは消えない、移動する

リスクの話では、リスクを減らしましょうという言い方をよくします。

ただ、リスクはゼロになりません。減らした分は、どこかに移動しています。

分かりやすいのが、労働です。

働けば給料が入ります。給料があれば生活は安定して、投資で無理をする必要がなくなります。

そういう意味では、これは投資のリスクを下げています。

その代わりに、私は自分の時間を使っています。体力も使っていますし、雇われている以上、雇い主の方針に合わせる場面もあります。

投資のリスクを下げるために、時間と自律を差し出している部分がある。

これが、リスクの移動です。

リスクを下げる → 別の資源を差し出す → リスクが移動する

貯金を厚くするために旅行を減らすのも同じです。投資を控えるために、やりたいことを後回しにするのも同じことです。

リスクを減らしたのではなく、移動させているだけかもしれません。

だから私は、投資のリスクと人生のリスクは、片方だけを見ても分からないと思っています。

雇われるリスクと、もう一つの収入の軸

リスクの移動先として、もう一つ大きいものに雇用があります。

雇われるというのは、安心と引き換えに、判断を預けることでもあります。

給料は安定しますが、働く場所や時間、仕事の進め方は、自分だけでは決められません。

職場の環境が良ければ、それでいいと思います。ただ、環境が悪くなったときに動けるかどうかは、また別の話です。

私が今取り組んでいるのは、雇われる以外の収入の軸を持つことです。

労働収入と投資収入に加えて、事業からの収入があれば、バランスは取りやすくなります。

とはいえ、うまく回っているかというと、そうでもありません。

まだ形になっていない部分が多くて、そこは今の課題です。

それでも、選択肢を一つ増やしておく意味はあると思っています。

雇われている側のリスクは、選択肢が一つしかないときに大きくなるからです。

リスクは、家計の外にも動く

リスクの移動先は、お金の話だけではありません。

私は独身で、子どももいません。

今のところ扶養する人がいないので、扶養のリスクは抱えていません。

投資の判断としては、身軽なほうだと思います。

ただ、投資やお金の話を、前提を共有した状態で話せる相手は多くありません。話しても、かみ合わないことがあります。

説明するのが面倒になって、黙ってしまうこともあります。

人間関係を深めようとしても、相手が引いてしまうことがあります。

理解されないことへのストレスが、関係を深めることを邪魔しているのかもしれません。

これも一種のリスクの移動です。

扶養がないぶん、お金の面では身軽でいられます。その代わりに、私は関係の深さを得られていないという代償を払っています。

見えないところで払っているので、自分でも気づきにくい。

気づいたときには、けっこう削られがちで、そういうものに限って取り返しのつかない代償だったりします。

知ってはいたが、本当の意味で理解していなかった……ということはなるべく避けたいですね。

余裕を測る4つの物差し

では、人生側のリスクはどう測ればいいのか。

私が考えている物差しは、4つあります。

1つ目は金額です。お金は、定量的に測れる数少ないものの一つです。感覚ではなく数字で見られるので、判断の基準になります。

2つ目は残り時間です。40歳なら、働ける期間はあと20年ほど。寿命を80歳前後とすると、生きる期間はあと40年、長く見れば50年から60年になります。人によって違いますが、だいたいの想定はできます。

3つ目は選択肢の数です。お金があっても、選べる道が一つしかなければ、余裕はありません。逆に金額が少なくても、選べる道が複数あれば、気持ちは楽になります。私はこの「選んでいる感」を大事にしています。

4つ目は健康です。これは、他の3つとは性質が違います。

金額と選択肢は、ある程度取り戻せます。

時間は戻りませんが、まだ残っています。残った時間で、多少の対応はできます。

ただ健康は、失うと取り戻しにくいですし、しかも健康でなければ、他の3つにも影響が出てきます。

物差しの使い方

4つを並べると、自分がどこに余裕を持っていて、どこが薄いかが見えてきます

健康が崩れると、投資のリスクは下げざるを得ない

私は、健康を余裕を生む資源と位置づけています。

元気に動けるから働けますし、働けるから収入が入ります。

日本人の平均寿命と健康寿命には、男性で約9年、女性で約12年の差があります。日常生活に制限がある期間が、それだけ残るということです。

収入があるから、選択肢が増えます。どれも、健康の上に乗っているものです。

だから健康が崩れると、人生全体のリスクが上がります。

資源そのものが減るので、他の部分でなんとかバランスを取るしかありません。

あと健康を害すると、医療費が増えます。

しかも、収入は減りやすくなります。

さらに、動ける範囲や時間にも制限が生まれます。

この三つが、同時に来る。

この状態で投資のリスクを高いままにしておくのは、バランスが取れていません。

全体のリスクが上がっているのに、投資のリスクまで高いままなら、全体としてリスクを取りすぎになります。

よくある判断 全体で見た判断
健康は投資とは別の話 健康が崩れると、人生全体のリスクが上がる
長期投資なら続けられる 医療費と収入減で、前提そのものが変わる
リスクは高いままでも平気 金融のリスクも下げざるを得ない

もし私がそのような事態に陥り、健康が崩れたら投資のリスクを下げます。 投資の判断として正しいというより、全体のバランスを取った結果として、そうなります。

健康は金額で測れないぶん、後回しにされやすいんですよね。でも、ここを外すと、他の3つも成り立ちません。

健康を土台に考えることについては、別の記事でも書いています。

働けることは、リスクを取れる理由になる

反対に、健康で働けるうちは、投資のリスクを取れます。

私は60歳くらいまでは働けると思っています。労働そのものが嫌いではないので、定年後も何かしらやるだろうなと。

これは、人的資本(=自分が働いて稼ぐ力)がまだ大きい、ということです。人的資本が大きければ、金融資産が少なくても生活は成り立ちます。

若い人が投資でリスクを取れるのは、性格が大胆だからではありません。時間と体力という資源が、まだたくさん残っているからです。

ただし、これも永遠には続きません。働けなくなった瞬間に、人的資本は小さくなります。そのとき頼りになるのが、金融資産です。

だから、働けるうちに何をしておくかが、その後の余裕を決めます。

一般解と、自分だけの解は違う

ここまで書いてきたことは、一般論です。読者であるあなたの答えとは、たぶん違います。

結婚しているか、子どもがいるか、親の介護があるか、住んでいる場所、仕事の安定性。条件が違えば、リスクの量も変わります。

私の場合は、扶養のリスクが小さい代わりに、関係の深さでコストを払っています。これは私の条件から出てきた答えで、他の人にそのまま当てはまるものではありません。

だから、資産配分の話をする前に、自分の条件を一度並べてみてください。金額、残り時間、選択肢、健康。この4つを並べると、自分がどこに余裕を持っていて、どこが薄いかが見えてきます。

薄いところが分かれば、そこを厚くする判断ができます。投資の金額を変えることもあれば、働き方を変えることもある。どれが正解かは、条件によって変わります。

まとめ

投資のリスクは、値動きだけではありません。

この記事の要点

投資のリスクは人生のリスクと並べて測る。減らした分は、時間・自律・関係へ移動している

値動きは戻りますが、人生の側で失った余裕は戻りにくい。だから、投資のリスクは人生のリスクと並べて測る必要があります。

リスクは消えません。減らした分は、時間や自律や関係のほうに移動します。どこに移動したかを見ないと、本当のリスクは分かりません。

測る物差しは4つあります。金額、残り時間、選択肢の数、健康です。健康は、他の3つを下から支えるものになります。

まずは、この4つを紙に書き出してみるのはいかがでしょうか。投資の話をする前に、自分の余裕がどこにあるかを知る。そこから、自分に合ったリスクの量が見えてきます。

まあ、そんな感じで、投資の外側にも目を向けていけるといいなぁという話でした。