ギャンブラーの誤謬に気をつけよう

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ギャンブラーの誤謬に気をつけよう

「次こそは当たる!」その思い込み、実は危険かも?

  • ガチャで大当たりを引くまで何度も挑戦し続ける
  • パチンコで連敗しても「そろそろ来る」と座り続ける
  • 株価が下がり続けても「連続で下げたなら、もう少しで底だ」と信じて買い増す

これらの行動の裏には、「ギャンブラーの誤謬」という厄介な心理トラップが潜んでいます。一見合理的に思える判断が、実は大きな落とし穴になっているかもしれません。

スマホゲームの課金からギャンブル・投資まで、現代社会に蔓延するこの心の罠。その正体と対策そして関連する心理効果を実例から紐解いていきます。これらはあなたの財布と心、そして大事な人を守る、知っておくべき重要な話です。

ぜひ最後まで読んで今後に活かしてください!

ギャンブラーの誤謬とは?

  • ギャンブラーの誤謬の定義
  • ギャンブラーの誤謬の起源と発展
  • ギャンブラーの誤謬の具体例

ギャンブラーの誤謬の定義

ギャンブラーの誤謬(ごびゅう)とは、「過去の出来事が未来の出来事に影響を与える」と信じる間違った考え方のことです。もっと簡単に言うと、「今までこうだったから、次もそうなるはず」と思い込むことです。

誤謬とは間違いや誤りのことですので、ギャンブラーの誤りと理解してください。

ギャンブラーの誤謬は、単なる迷信ではなく、科学的に証明された認知バイアスです。 ギャンブルに限らず、日常生活の様々な場面で起こりうるため、注意が必要です。

ギャンブラーの誤謬の起源

ギャンブラーの誤謬は、古くから知られている認知バイアスですが、その起源や発展については、複数の説があります。以下では、代表的な説をいくつかご紹介します。

ピエール=シモン・ラプラスの確率論

18世紀フランスの数学者であるピエール=シモン・ラプラスは、確率論の研究において、ギャンブラーの誤謬に類似した現象を考察したと考えられています。

ラプラスは、著書『確率の分析哲学的試論』(1814年)の中で、次のように述べています。

コインを投げても表が出る確率は常に1/2である。たとえ過去に連続して裏が出たとしても、次のコイン投げで表が出る確率は依然として1/2である。

ラプラスのこの考えは、ギャンブラーの誤謬の核心を突いています。過去の結果に関係なく、ランダムな事象が起こる確率は常に一定であるという確率論の基本的な原理に基づいています。

ピエール=シモン・ラプラス 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

モンテカルロカジノでの出来事

1913年8月18日、モナコのモンテカルロカジノで、ルーレットのボールが連続で26回黒マスに止まるという出来事が起こりました。当時のギャンブラーたちは、過去の結果に囚われ、次のボールは赤マスに止まるだろうと判断して赤マスに賭けました。しかし、結果的には黒マスがさらに13回連続で止まり、多くのギャンブラーが損失を被りました。

この出来事は、ギャンブラーの誤謬が実際に起こりうることを示す有名な逸話として、今日でも語り継がれています。

心理学における研究

20世紀に入ってからは、心理学者によって、ギャンブラーの誤謬のメカニズムについて様々な研究が行われてきました。これらの研究によると、ギャンブラーの誤謬は、人間がランダムな事象にパターンを見つけようとする傾向や、損失を回避しようとする心理などが原因で起こると考えられています。

代表的な研究として、1974年に発表された論文「Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases」(日本語では判断と不確実性のもとでの意思決定:ヒューリスティクスとバイアス)があります。ギャンブラーの誤謬を含む様々な認知バイアスを初めて詳しく説明した原典です。

ギャンブラーの誤謬の具体例

起源が理解できたところで、ギャンブラーの誤謬の具体例を確認してきましょう。

カジノにおけるルーレット

カジノでのルーレットを考えてみましょう。赤が連続して5回出た場合、多くの人は「次は黒が出る確率が高い」と信じる傾向があります。しかし、各スピンは独立しており、次に赤や黒が出る確率は常に同じです。

このような誤解が原因で、多くのギャンブラーは不合理な賭けをし、最終的には損失を被ることになります。

ルー子
ルー子

これはパチンコやスロットでも同じだから、やるなら相応の戦略と立ち回りが必要だと思うわ

スマホゲームのガチャシステム

昨今のスマホゲームで見られるガチャシステムも、ギャンブラーの誤謬の影響を強く受けています。多くのプレイヤーが「次こそはレアアイテムが出る」と信じて、繰り返し課金してしまいます。

過去に何度もガチャを引いて外れたからといって、次に当たりが出る確率が上がるわけではありません。それにもかかわらず、プレイヤーは過去の結果に基づいて将来の結果を期待し、大金を投じていることになります。

天井システムがあったりしますが、そのときには既に大金を失った後だったりします。もちろん冷静な考えのもと投じているなら良いのですが、後悔している話をよく耳にするので気をつけましょう。

投資

投資の世界でも同様のことが起こります。

ある株が1週間連続で下落した場合、「これ以上下がることはないから、今が買い時だ」と思うかもしれません。しかし、株価の下落が続く可能性もあります。過去の下落が未来の上昇を保証するわけではないのです。

仮にそれで成功したとしても、別の要因があったと考える方が懸命と言えるでしょう。

ギャンブラーの誤謬の心理的背景

  • 人間の直感と確率のギャップ
  • 調整バイアス
  • ホットハンドの誤謬について

人間の直感と確率のギャップ

人間は、確率を直感的に理解するのが難しい生き物です。これは、人間の脳が進化の過程で、短期的なパターンや変化に敏感に反応するように適応してきたためと考えられています。しかし、投資のような長期的な視点が必要となる場面では、直感的な判断が誤った方向に導いてしまうことがあります。

調整バイアス

ギャンブラーの誤謬は、人間の持つ「調整バイアス」と呼ばれる心理的傾向と密接に関係しています。調整バイアスとは、過去の経験や直感に基づいて確率を過剰に調整してしまう傾向のことを指します。

例えば、コインを連続で5回裏が出た場合、「そろそろ表が出るだろう」と考える人がいますが、これは調整バイアスに陥っている状態です。これはまさにギャンブラーの誤謬ですよね。

コインの裏表はそれぞれ独立した事象であり、過去の結果が次の結果に影響することはないにもかかわらず、人は過去の結果に引きずられて確率を調整してしまうのです。

調整バイアスには、以下の3つのメカニズムが関係していると考えられています。

代表性ヒューリスティック

過去の経験やステレオタイプに基づいて、確率を判断してしまう傾向です。例えば、「ニュースで取り上げられた事件を過剰に恐れてしまう」のは、代表性ヒューリスティックの一例です。この例では飛行機事故や自然災害などのニュースを目にすることで、実際に自分が遭遇する確率よりも高く見積もってしまうことを指します。

代表性ヒューリスティックは、短時間で判断を下す必要がある場面において、有効な働きをすることがあります。しかし、複雑な状況や不確実性の高い状況においては、誤った判断に導いてしまう可能性があります。

確認バイアス

自分の考えを裏付ける情報ばかりを集めてしまい、反証となる情報を無視してしまう傾向です。例えば、自分が支持する政治家の演説ばかり聞いて、反対意見を聞く機会を設けないのは、確認バイアスの一例です。

確認バイアスは、SNS時代において特に注意が必要な心理バイアスと言われています。なぜならSNSでは自分がフォローしている人や興味のある情報ばかりが目に触れるためです。SNSのアルゴリズムの関係で、自分の意見や考えを裏付ける情報ばかりを集めてしまい、反対意見や反証となる情報を見逃してしまう可能性が高くなります。

このように確認バイアスは、自分自身の考えや価値観を過度に肯定し、視野を狭めてしまう可能性があります。多様な意見に触れるように意識し、自分の考えを客観的に見つめ直すことが大切です。

因果関係の錯覚

偶然の出来事を、因果関係があるものと誤解してしまう傾向です。例えば、宝くじに当選した後に、幸運のお守りを買ったことを強く意識し、お守りが当選に貢献したと信じてしまうのは、因果関係の錯覚の一例です。これは、共変関係と因果関係の混同によるものです。共変関係とは、2つの事象が同時に起こる頻度が高いことを指しますが、必ずしも一方の事象がもう一方の事象の原因であるとは限りません。

因果関係の錯覚は、思い込みや主観的な判断に基づいて判断してしまうため、誤った結論に至ってしまう可能性があります。物事を客観的に分析し、複数の情報源を比較検討することが大切です。

似たような心理効果であるホットハンドの誤謬

ギャンブラーの誤謬とは似たような心理効果に、ホットハンドの誤謬(Hot Hand Fallacy)存在します。これは、連続して成功した後には更なる成功が続くと信じる現象です。過去の出来事が未来の出来事に影響を与えると考える点では同じです。

ホットハンドの誤謬はスポーツや賭け事などで最近成功している人や物事が、これからも成功し続けると誤って信じてしまう考え方のことです。

バスケットボールの試合を想像してみてください。

選手Aが3本連続でシュートを決めました。
チームメイトやファンは「Aは今日調子がいい!次も絶対入る!」と思います。
しかし、実際には次のシュートが入る確率は、それまでのシュートとは関係ありません。

これがホットハンドの誤謬です。

ギャンブル: 「今日はツイているから、もっと賭けよう!」
投資: 「この株は上がり続けているから、まだまだ上がるはず!」

これらもすべてホットハンドの誤謬です。それではなぜ人はこの誤謬に陥るのでしょうか?

実は 人間の脳は、パターンを見つけるのが得意です。これは普段は役立つことが多いですが、ランダムな事象では誤った判断につながります。

そして人は成功を期待したがる傾向があります。スポーツはともかく、ギャンブルや投資においてはご法度だと認識しましょう。

ギャンブラーの誤謬を避ける方法

ギャンブラーの誤謬は人間の認知の特性に根ざしているため、完全に排除することは難しいです。ですが、次に紹介する方法で影響を最小限に抑えることができます。

  • 確率の独立性を理解する
  • 知識と教育の重要性
  • 冷静な分析と論理的思考でギャンブラーの誤謬を避ける

確率の独立性を理解する

ギャンブラーの誤謬を避けるための第一歩は、確率の独立性を理解することです。コイン投げ、ルーレット、宝くじなど、独立したランダムな出来事は過去の結果に影響されません。この基本的な確率の法則を理解することで、誤った判断を避けることができます。

なんとなくわかる気がするけど、もうちょっと詳しく知りたいなぁ…

もう少し詳しく話をします。理解できている方は飛ばしてもOKです。

確率の独立性とは、ある出来事が他の出来事に影響を与えないという概念です。数学の確率論の中でとても重要な考え方です。

簡単な例で説明します。コインを投げると、表が出るか裏が出るかのどちらかです。

そうすると表が出る確率は50%(0.5)、裏が出る確率も50%(0.5)です。1回目にコインを投げて表が出たとします。そして2回目にコインを投げたときに表が出る確率はどうなるでしょうか?答えは、依然として50%(0.5)です。

1回目の結果(表が出た)は2回目の結果(表が出るか裏が出るか)に全く影響を与えていませんよね?これが確率の独立性です。

知識と教育の重要性

確率論や統計学の基礎知識を学ぶことは、ギャンブラーの誤謬を避けるために非常に有効です。教育は誤った直感に対する最良の防御手段であり、正しい知識を持つことで不合理な判断を減らすことができます。

そして肝心の確率論や統計学の基礎知識を学ぶ方法ですが、わたしは本を読むことをおすすめしています。難易度は低いもので良いです。基本を学べて少しでも関心を持つことができれば御の字です。

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本か…ちょっと本が読むのが苦手なんだよなぁ…

もし本が読むのが苦手と感じいるなら、とりあえずYouTube動画で学んでみてはいかがでしょうか?講義もあれば、書籍の解説でも優れた動画があります。

とにかく知ろうとする気持ちがあるうちに行動しましょう。

確率論や統計学を学校の授業で学んできたもしれませんが、人生を生きるための知識として確率論や統計学を真面目に学んだ方は少ない気がします。少なくとも自分はそうでした。

学者になるほど学術的に学ぶ必要はありませんし、今はわかりやすい教材が無料もしくは格安で存在します。ぜひ一緒に学んでいきましょう!

ほたる
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早めに知っていれば、もっと早く貧乏から脱却できていたかも…

冷静な分析と論理的思考でギャンブラーの誤謬を避ける

感情に流されず、冷静に状況を分析することも重要です。ギャンブルや投資においては、過去の結果に基づいて未来を予測するのではなく、客観的なデータと論理的な思考に基づいて決定を下すべきですからね。

とはいえ、それが簡単に実行できないのも理解しています。実行できずに消えていった人たちも成功者の数よりずっと多いと思います。

そこでなるべくわかりやすく

確率を正しく理解する

まずは確率の基本概念を理解しましょう。現実的には実際に起きる前に、知識として入れておくことが大事です。

前述した方法などで、知識を日頃から身につけておくと、いざというときに助けとなります。

  • 独立した事象:前の結果が次の結果に影響しないこと
  • 大数の法則:試行回数が増えるほど、理論上の確率に近づくこと

感情を一旦脇に置き冷静になる

まず大切なのは、興奮や焦りといった感情を落ち着かせることです。

  • 深呼吸(身体的アプローチ)で冷静になる
  • 「ちょっと待って、よく考えてみよう」と自分に言い聞かせる
  • 時間的に余裕があるなら、物理的に対象から離れる

事実を整理する

次に、目の前の状況について事実を整理します。実際の確率について計算してみるのも一つの手です。

  • 何が起こっているのか?
  • どんな情報があるのか?
  • それらの情報は信頼できるものか? 

例:サイコロを振る場合
 ・サイコロは6面体である
 ・各目の出る確率は理論上1/6である
 ・前回の結果は次の結果に影響しない

論理的に考える

情報を基に、step by stepで考えていきます。段階的に考えることで、論理的な思考を取り戻すことを狙います。

実際にやるときは、紙などに書き起こすことで整理しやすくなりますよ

  • もし〜ならば、どうなるか?
  • この考えは論理的に正しいか?
  • 他の可能性はないか?

例:「10回表が出たから、次は裏が出やすい」

「でも、コインには記憶がないよね?」

「だから、次も確率は変わらず1/2のはず」

結論を出す前に一度立ち止まり反証を試みる

自分の考えが間違っている可能性を考えてみます。これは「批判的思考」と呼ばれる大切なスキルです。

  • もし自分の考えが間違っていたら?
  • この考えを否定する証拠はないか?
  • 本当にこの判断で大丈夫?
  • 見落としている点はないか?

可能であれば最後の判断を下す前に、もう一度考え直す時間を取るとなお良いと思います。

冷静な分析と論理的思考は、ギャンブラーの誤謬だけでなく、人生の様々な場面で役立つスキルです。少しずつ練習して、身につけていきましょう。

ほある
ほある

身につけた知識があれば自分だけではなく、周囲を助けられるかもしれませんよ

ギャンブラーの誤謬を学んで人生に活かそう

ギャンブラーの誤謬は、過去のランダムな出来事が将来の結果に影響を与えると信じてしまう誤った考え方です。この誤謬を避けるためには、まず確率の独立性を正しく理解することが大切です。

記事内で説明したように、各試行は独立していて、過去の結果が未来の結果に影響を与えないことを常に意識しましょう。また、確率論や統計学の基礎知識を学ぶことで、直感に頼らず、冷静かつ論理的な判断ができるようになります。特に投資や賭博の場面では、感情に流されず、客観的なデータに基づいた意思決定が求められます。

さらに、スマホゲームのガチャなど、日常生活の中でもギャンブラーの誤謬に陥る場面は少なくありません。正しい知識と冷静な分析を通じて、不合理なリスクを避け、より賢明な選択をすることが大切です。

ギャンブラーの誤謬について理解を深めることで、ギャンブルや投資だけでなく、仕事や人間関係でも冷静な判断力を養うことができます。この記事が皆さんの参考になり、日常生活でより賢明な決定をする手助けになれば幸いです。

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